デベロップメントとテストプレイのコスト

ウォーゲーム業界では、昔はAHと言う丁寧にテストプレイをして完成度の高いデベロップをしてからゲームを販売する良心的な会社があった。今ではこんな会社は存在していない。
生き残った最大のウォーゲームメーカーであるGMT社は、それほど手間をかけていない完成度の低い物を商品として販売し、それに対するユーザーの声をネット経由で集めて改良した新版を数年後に発売する手法を取っている。性質の悪いことに新版を出すときには、やれデラックスマップ版だの、シナリオ追加だの、アートワーク改良だのと言って初版を買った人間にももう一度買わせようとする‥(^_^;
結局、メーカーは在庫コストや在庫リスクを負担しないばかりか、テストプレイコストも負担せず、揚句ユーザーから代金を二重取りしようとしてさえいるとも言える。たいへん悪意に満ちた見方ではあるが、残念なことに一面の真理になっている。
もともとがウォーゲームは開発負荷が高い割に販売数量が少なくビジネスとして成立しにくい性質がある。そのため、往年のSPIでさえS&T誌で毎号詳細なアンケートを取ってユーザーの需要を調査し、それでも製造コストの高いボックスゲームではいきなり打って出られないので雑誌の付録ゲームで販売し、それで評判が良くて行けると思ったものだけボックスゲームとして販売するようなビジネスモデルを作った。そのくらい、ウォーゲームはビジネスにはなりにくいのだと思う。それでもSPIは、旺盛な開発力で星の数とはいかないものの多くのゲームをゲーマーに提供し、このホビーの礎を作り上げてくれたのだから感謝するべきなのだろう。
GMTについても酷評したが、もしGMTがなければ今のウォーゲーム界は事実上壊滅状態に近くなってしまうであろうことを考えれば、彼らのビジネスモデルもホビー存続のためには止むを得ないのかも知れない。