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bqsfgame2009-06-26

付録ゲームは、「文禄朝鮮の役」。
「信長最大の危機」のシステムで、秀吉の朝鮮出兵を描く。可変長ゲームで、8〜16ターンで終了する。
題材的にナーバスなので多くを語らないが、「信長最大の危機」のシステムの新作と言うのは嬉しいかも知れない。先日の千葉会でも2セットがプレイされていたし、プレイアブルでドラマチックな展開のシステムの新作と言うことであちらこちらで稼動しているようだ。そう言えばオリジナルも久しくプレイしていないので、久しぶりにやってみたいかも知れない。
記事としては、いつも楽しみにしている柿崎氏のシミュレーションゲーム批判序説もどきは、今回はオリジナルの「戦国大名」を題材にしている。今回は上手くまとまらなかったのか、論調にエクスキュースが多いので、ちょっと読み辛かった。興味深い指摘として、「戦国大名」はSPIの「エンパイアオブミドルエイジ」を意識してデザインされているというのがあった。ミドルエイジは、SFゲームのソーズアンドスターズと同じシステムだと思う(実は筆者はミドルエイジをやったことがない)が、内政が重要で治安維持や技術改善、イベントとして発生する内乱や疫病との闘いが重要だった。これはシミュレーションとして非常に正しいし、ちゃんと面白い。しかし、エポックは当時の日本のウォーゲーム普及政策として、マルチプレイヤーでドンパチできるゲームが今は必要だと判断して、「戦国大名」では内政部分の手間からプレイヤーを解放したゲームシステムを作ったのではないかという指摘である。結果として、「戦国大名」では国力が高めに設定され、さらに重税を比較的容易に課すことができ、真面目に考えるとシミュレーション性が低いという結果と相成ったという指摘である。
なるほど、当時のゲームニーズに対するマーケティング政策、それを踏まえたゲームデザインと言うことを考えての指摘は非常に興味深いものがある。
また、「戦国大名」の魅力という点での指摘にも目を引くものがある。曰く、「日本全土を含むマップは天下を取るというプレイヤーの欲求を満たしていた」、「小さい場所から始めて徐々に拡大していく過程がそれらしくて楽しい」などは、なるほどと思わせる。
この日記はバックデイトで書いていて、この時点で筆者は「新・戦国大名」をプレイしているのだが、そうした指摘を踏まえて新版を考えると、「天下を取るという醍醐味が薄い」し、「天下統一の遠大なプロセス感を与えられない」という問題があるような気がする。その分だけ、佳境の激突を濃縮してプレイさせ、プレイアブルな時間範囲で終らせようという意図があり、それが事前に宣伝されもしていたのだと思う。しかし、結果はプレイ時間は依然として丸一日コースだし、ルール的な曖昧度や、プレイ上の辛辣なシチュエーションからしても初心者お断りのゲームに留まって失敗していた。
どうせ初心者お断りで丸一日掛けてしまうのなら、終らないかも知れないがオリジナルの「戦国大名」をプレイした方が、「戦国大名のゲームをプレイした」という満足度が高いのではないだろうかと思ったりもする。
その他の記事では、ゲームガイドにコマンドの付録ゲーム、「モスクワ41」と「レッドタイフーン」が載っていて、「ああ乗り遅れてしまったやらなくては!」と痛感させられた。
それ以外では、新版「タイタン」がオリジナルに忠実な内容で出たようで、これはめでたいことだと思う。「タイタン」も戦国大名と同様に、プレイ時間、プレイに必要なスキル(慣れ)という点で、初心者お断りに近いゲームなのだが、召喚による一種の全体としてのモンスター軍団の進化の醍醐味は他に類を見ないので、このゲームが広くアクセス可能になるのは良いことだと思う。このゲームの敷居の高さについては、近藤氏が歯切れ悪く指摘しているのが非常に妥当な表現だと思う‥(^_^;