☆ライトジーンの遺産を読む

bqsfgame2013-07-02

久しぶりの神林作品。
人間の各臓器が勝手に崩壊してしまう奇病が蔓延する近未来社会。そこでは、ライトージーン社が人工臓器研究の延長として人造人間を試作していた。しかし、ライトジーン社の暴走から研究は中断し、2体だけの試作品の一人である主人公は人工臓器がらみの事件を追う私立探偵のような仕事をしている。
神林長平のデビュー作である胃が逃げ出してしまう奇妙な社会を描いた「狐と踊れ」を髣髴させる設定。
しかし、内容はずっとハードボイルドになっている。
上下2分冊でボリュームもあり、連作短編になっていて各編ごとに登場する人工臓器が異なっている。
それぞれの臓器がどんなトラブルを巻き起こすかは見てのお楽しみ。
サラマンダー殲滅と同じソノラマネクストの一冊だが、これもなかなかの傑作だと思う。