○過負荷都市を読む

bqsfgame2014-03-10

神林長平らしい作品。
第1に、連作長編である。
第2に、現実の不確実性を主題にしている。
第3に、登場人物の名前が難しい(笑)
クォードラムと言う制御体がいて、人間の思いを現実化する機能を果たしている。しかし、人間の思いが無秩序な上に多すぎて過負荷に陥っている。と言う設定。
過負荷を解消するために、破壊者をクォードラムが必要としており、破壊者になりたいと言う願望を持つ高校生を利用して一種のコマンドに仕立て上げる話しになっている。
「戦闘妖精」の戦闘機、「今宵銀河を盃にして」の戦車などに続いて、本作ではパワードスーツが主人公とも言える。
非常に神林長平らしさに溢れているが、出来栄えは既存の傑作と比べると見劣りするだろうか。不条理には「不条理としての一貫性」がないと物語の説得力がなくなってしまうのだが、その点で本作は少し無理があるように思う。