西南戦争をソロプレイする

bqsfgame2014-12-02

ウォーゲーム日本史13号です。
知らなかったのですが、デザイナーの「砂漠のキタキツネ」さんは、井村さんなのですね。BGGで初めて知りました。
井村さんと言えば、先日の「GJ南北戦争」が良かったので、ごく個人的に赤丸急上昇中です。と言うことで、先般の課題に挙げた中から井村作品の本作を急遽プレイしてみました。
ゲームシステム的には、オーソドックスなカードドリブンゲームです。カードは毎ターン4枚ずつ。カードは作戦値でプレイして活性化に利用するか、イベントでプレイするかの選択があります。カードデックは、それぞれの陣営に専用となっています。さらに、初期デックが指定されており8枚でスタート。残りのカードは、初期デックに入っているイベントカードを使って購入して追加します。つまり、デックビルディングの仕組みを持っています。
ゲームマップ的には九州全体が描かれており、西郷軍の本拠地である鹿児島から、序盤の激戦地である熊本城を経て、政府軍の増援が到着する本州スペースまであります。マップはポイントトゥポイント方式で、1マスのスタック制限は2ユニットまでしか許されません。
ユニットは、マルチステップで1ステップしかない守備隊から、政府軍の正規部隊の4ステップまであります。
戦闘は、所謂ファイアーパワー方式で、隣接マスから攻撃を実施し、攻防両者が自軍の攻撃力でCRTを振って相手へのダメージを判定します。ダメージは、ユニットの耐久値を使って吸収します。
このゲームでは、一旦、ステップロスしたユニットの回復が、デフォルトではできません。一部のイベントにより実施できるのですが、こうしたイベントは初期カードには入っていないので先ず購入しなければなりません。
西南戦争では、両軍とも相手の背後への上陸作戦を企画、また実行しました。西郷軍は初期手札に強襲上陸を持っており、小規模の上陸部隊を政府軍の支配する九州北部の海岸マスに上陸作戦出来ます。対する政府軍は、後から購入するイベントカード「黒田清隆」によって敵支配海岸エリアへの上陸能力を獲得できます。
ゲームの勝敗は、両軍の士気によって判定します。ゲーム開始時は両軍の士気は6ありますが、毎ターンの判定フェイズに両軍は支配している重要エリアの数を数え、少ない側が差の分だけ士気低下します。士気が0になると即座に敗北します。
ゲーム開始時には、政府軍が7カ所、西郷軍が5カ所を持っています。劣勢の西郷軍は、初期兵力で優位を持っているので、これを利用して劣勢を覆すべく初期攻勢に出ます。具体的には、熊本から熊本鎮台のある熊本城を攻略する作戦と、強襲上陸で長崎などの北部へ進出する作戦があります。
初期兵力で優位な西郷軍ですが、実はステップロスすると完全戦力には戻せないルールがあります。このため、戦闘を継続していると質の面で劣勢になります。そして、政府軍が討伐軍を本州から送り込んでくると、数的にも圧倒されるようになります。最終の10ターンまで敗北しなければ、西郷軍は戦術的勝利となるので、低下する士気をイベントカード「西郷隆盛」で支えながら懸命の抗戦を続けるようになります。
1ターンのカード枚数が少ないカードドリブンなので、プレイアビリティは良好です。10ターンありますが、2時間くらいで終りまでプレイできます。全体のカードの枚数も少なく、どんなカードがあるかを掌握するのにも時間が掛からないので、カードドリブンゲームの入門編として広く薦められると思います。
その一方で、デック構築要素を持っていること、作戦方針として正面攻勢の他に背後を衝く上陸作戦が可能なことから、プレイヤーの作戦意思決定余地があります。ミニゲームであるにも関わらず、作戦岐路が別れており、またストーリー性があることから、良いミニゲームと思います。