コマンドマガジンの付録ゲームを最新号の内にプレイするのは、「珊瑚海キャンペーン」以来でしょうか。まぁ、そんなに久しぶりと言うほどではなくて、ちょっと安堵。
ゲームシステム的には、「西南戦争」と同じ簡易カードドリブン方式。全部で16枚しかないカードドリブンです。ただし、「西南戦争」が初期カード以外のカードは順次購入してデック構築する方式だったのに対して、本作は両軍共通で全16枚を最初から使います。なので、デック構築で大きな戦略を立案していく部分はありません。
ユニット数が少なく、マップが狭いのですが、プレイして見ると意外に難しいゲームでした。勝利条件的に不安定な印象を受けました。1814年戦役ですので、押し寄せる連合軍、ナポレオン側は最優秀のナポレオンを利用した内戦作戦でどこまで凌ぎ切れるかが焦点になります。
勝利条件の中心は両軍のモラルで、ターン終了時にいずれかがモラルゼロ以下になっていると敗北します。モラルは開始時はフランス軍の方が高くなっていますが、フランス内の重要都市を奪われるとフランスモラルが1低下、連合軍は1上昇します。また、指揮官が盤上から除去されると1低下します。ただし、ブリュッヒャーとシュバルツェンベルグは3、バルクライは2低下します。また、ナポレオンが除去されるとフランスはサドンデス負けします。加えてパリが陥落してもフランスは頓死します。
これ以外に、連合軍はターンごとに規定されている数の重要都市を確保していないと負けてしまいます。これが意外と問題で、この規定のために連合軍は毎ターン確実にフランス国内侵攻を進めなければなりません。
問題なのは、連合軍としてはフランス国内侵攻を義務付けられているのですが、それを実行するためには有力諸将のスタックを使いたい。ところが、前述の通りブリュッヒャーやシュヴァルツェンベルグをカウンターアタックで除去されるとモラルが大きく下がる。序盤では連合軍のモラルが低いので、これでサドンデス負けしてしまう。このリスクを下げるためにモラルを上げるには、結局の所、フランス国内の重要都市を占拠する必要があり、話しは振出に戻ってしまう。
ゲームは序盤の連合軍のモラルが低い時期をどうマネージメントするかが課題。連合軍としては、ナポレオンのいない所で複数スタックを連動して機動して圧力を掛けるのが基本。そのためには、作戦値の大きいカードが欲しい。逆にナポレオン側からすると、ターゲットになるブリュッヒャーやシュヴァルツェンベルグが単独になった時に、一気に通常移動圏外から襲い掛かれる強行軍カードがキラーカードになります。こうしたカードが互いの手の内にあるかどうかで戦略的判断は大きく変わるので、プレイごとに展開は大きく異なってくると言う印象を受けました。そのため、あまり手順が定跡化せず、プレイの都度、戦況を良く吟味して考えなければなりません。一つ間違えると、序盤で潰れてしまう不安があり、非常に深刻感のあるゲームです。そうした重さが苦手な人には、ちょっと薦めにくいでしょうか。
しかし、サイズが小さく、何度もプレイできるので、負けたら「では、もう一番」と言えるのが良い点でしょう。
窮地に追い込まれたナポレオンの苦悩も、大物を追い詰めたが仕上げを間違えると痛恨の反撃を受けかねない連合軍の薄氷の思いも、良く再現できていると思います。
久々のナポレオニック号ですが、良い付録ゲームに恵まれたので、もっと話題になって欲しいですね‥(^o^)