シマックの第一長編(1939)です。
古本屋で見つけてシマックだし安かったから買ったのですが、「シマックらしくない三流スペースオペラ」という世評を聞いて死蔵していました。
今になって初読とは‥(^_^;
悪い評判を事前に聞いていたので、それほどガッカリすることはありませんでした。○を付けても良いかとも思いましたが、自分が後日に見て再読する価値があるかどうかを判断する時のため×にしました。
スペースオペラと言うより、ジュブナイルと言った方が良いでしょう。主人公たちは、太陽系観光記事を書く食い詰めたジャーナリスト。それが、冥王星付近で1000年前に追放されて宇宙船内で仮死状態で保管されていた美少女科学者を助ける。彼女は仮死状態の間も意識があり、その1000年間の思索で超能力を身に着けていた。
いや、凄いですね。
で、彼女に向けて宇宙の反対(?)に位置する別銀河から応援を求むというメッセージが。実は、我々の宇宙は別の宇宙と衝突する危機にあり、それを助けるために宇宙の知性体の知恵を集めようとしているというのです。
いやいや、凄すぎますね。
それでも、どこかシマックらしいのは、「衰退した文明を継承する者」、「エキゾチックなエイリアンたち」が登場する所です。そういう意味では、「都市」や「中継ステーション」といった後年の代表作のモチーフが既に登場しています。
なので、読んで損をしたとは思わせません。シマックが大好きな人なら、彼の最初の長編という個人史的な興味も含めて読んで良いと思います。でも、二度は読みませんね。これなら、日本作家の良質のジュブナイルを再読した方が楽しく読めますから。