草上仁さんの長編です。ハヤカワの単行本。
ハードカバーで出したのだから、需要もあるし、出版社も推していたのでしょう。
「ピタゴラス教団の流れを汲む日本のカルト教団が、その独特の教理に従って連続殺人をしている」という話しをカメラマンの主人公女性と数学教授が解いていく話しです。
ミステリーとしては、少々反則気味の「主人公女性が自分の素性を隠している」ために解きにくくなっているというのが今一つでしょうか。
連続殺人に至る動機が帰納法的帰結であり、そのタイミングが数学の問題になっていると言うお話しです。このアイデアで、ハードカバー二段組みで400ページを書ききってしまうと言うのは、剛腕。その一方で、多少、冗長な感じは否めません。リーダビリティが高いので苦痛ではありませんが、再読はしないと思うので×にしました。
草上先生の長編を読むのは3冊目ですが、どれも同じように冗長な感じです。アイデアストーリーが得意な人は、やはり短編型ということでしょうか。
巻末に別の長編の広告が載っているのですが、ちょっと食傷したので当分は良いかなと言う感じです。図書館にあれば、いずれ読む日があるかも。