×故郷から1000光年を読む

bqsfgame2013-08-04

ティプトリーの短編集。まだ未読があったかと言う感じだが、決してリーダビリティの高い作家ではないので、なかなか読み始められず今になった。
翻訳順は遅いが、実は第一短編集。
読んだ感想としては、あまり面白くない。完成度と言う点で、他の短編集と比べてはっきりと見劣りすると思う。
意外なのは、スターウォーズ的な賑やかな銀河帝国を感じさせる純エンターテイメント志向の作品があったりして、ティプトリーは必ずしも陰鬱一辺倒ではなかったのだと発見させられる。その点が本書の最大の価値と言って良いだろうか。また、巻末の「ビームしておくれ故郷へ」は、トレッキーの主人公が出てくる。そうか、意外に純文学志向でなく、バリバリのSFファンだったのかもと思わせる。
寡作だったのと、玄人筋の評価が高いのとで、翻訳が進んでいる作家だが、それでも短編集3冊、長編1冊が未訳で残っている。ティプトリーと言う名前で売れる時代でもなくなったかも知れないが、叶うことなら訳出してもらいたいものだ。