うーん、シナリオを書くのは難しい仕事だと思いました。
両国での王座奪取劇では、客席から内藤コールが予想以上に起こりました。
それを踏まえて、内藤は試合後のインタビューで木谷オーナーに会場に来て見て聞いて会場の反応を確かめたら‥とアピールした訳です。
オーナーに対する反体制派としての内藤のポジショニングが観客に受け入れられたと見ての、初防衛戦のシナリオ。
ところが、難しいもので、博多のファンは両国とは明らかに反応が違っており、どちらかと言えば石井推しの声援が目立ちました。で、実況や、解説もこの事実を指摘。これは現場にいる中継班の強み。
しかし、それを事前に予想しえなかったシナリオライターは、再び内藤に同じセリフを言わせたのですが、明らかに会場の現実とミスマッチになってしまい、説得力がゼロでした。
うーん、難しいものです。
同じようなことは大災害直後のお笑い番組にも言えて、何がギャグとして許されて、何が不謹慎として断罪されるかライブで観客の反応を見ながらできる人間には修整できますが、そうでない人間には非常にリスクがあります。なので、大災害直後は、ダークマッチ(プロレス)や、無観衆のテレビ収録(お笑い)は怖いのです。
その意味で今回の内藤のセリフを書いたシナリオライターは、手痛い授業料を払ったことでしょう。東京のファンと地方のファンは違うのです。このことを理解しないと、かつての札幌での木戸の異常人気のような運営サイドの意図と違う所へファン心理が向かうことになってしまいます。
シナリオライターの罪が一番重いと思いますが、内藤も内藤です。会場の反応を自分で感じて、両国のようには行かなかったとわかっていた内藤は、アドリブでなにか考えるべきでした。博多のファンの見る目のなさを糾弾して、ヒールに徹した方が不自然なセリフを予定通りにしゃべるより数倍マシだったのではないかと思います。そういうのができるようにならないと、WWEのトップは務まりません。
その意味では、「博多のファンの反応を、見て聞いたのに理解できていない君は、チャンピオンの資格、ないんじゃないの?」という感想です。