ゼラズニイの「アイオブキャット」でナバホ神話に興味を持ちました。
で、図書館でインディアンの神話関係の資料を数冊借りてきましたが、残念ながらインディアン全体をカバーした書籍ばかり。ナバホ神話に関する記述は、ほとんどなきに等しいのです。
で、結局、いちばん良さそうだったのが本書。懐かしい河合隼雄先生です。
河合先生と言うと、学生時代に心理学のレポートを書くのに「ユング心理学入門」を読んだのが出会いです。それがキッカケで一時期、夢日記を付けたりもしました。
本書ですが、ナバホ族の土地を訪ね、彼らのメディスンマンにインタビューしたりする旅行記的な色彩の本です。ただ、そこは河合先生ですから、臨床心理療法的な視点で切り込んでいます。また、インディアンの文化と白人の文化の相違点。両者に対する日本人文化のポジションなど、興味深い考察が並びます。
また、それと関連してアルコール依存症治療の問題、文化と密着した宗教や芸術の問題も語られます。
ナバホ族の本としてでなく面白いので、広く進められる好著と思いました。
ところで、ナバホ族のコードトーカーの話しも出てきます。WW2での暗号要員です。暗号解読史上の成功事例として語られる事案ですが、ナバホ視点では白人に利用された被害事例ということになります。これも考えさせられます。
姉妹編的にケルトの旅行記もあるそうなのですが、生憎と図書館にありません。