×アプロディーテーの贈物を読む

bqsfgame2017-04-16

ファイアーブランド第2分冊です。
ついにトロイ戦争は始まり、トロイは包囲されてしまいます。
しかし、カッサンドラーを主人公とする本書は、そんな包囲戦はそっちのけです。大地の女神の信仰に関わる蛇たちが死んでしまい、新たな蛇を育てるためにカッサンドラーはコルキスまで行って蛇の育て方を学びます。
結局の所、本書はギリシャの神々(アポロンなど)よりも古い大地の女神を信仰する女系社会の崩壊を描くフェミニズム小説なのでしょう。ですから、女神信仰や、女性登場人物の描写が手厚くなっています。対照的に、本来の「イーリアス」の主人公であるアキレスや、そのライヴァルであるヘクトール、対立するアガメムノーンなどは、出ては来ますが比重が軽くなっています。
トロイ戦争を、かつて存在した女系社会が男系社会に滅ぼされた戦争と位置付けて、それを女系社会側からの視点で描くというブラッドリーの新機軸なのですね。
いろいろな登場人物は、原点の通りの名前で、原点に沿った関係で登場しますが、かなり自由な翻案と言って良いと思うようになりました。
最終巻でどう纏め上げるのでしょうか?
絶賛、評価保留中(笑)
全体を完読した結果、評価を×にアップデートしました。