「火星のタイムスリップ」が良かったので、またもPKディックです。
サンリオSF文庫の最初のディック本。翻訳はNW−SF編集長の山田和子さん。山田さんのままでの新訳本も出ていますが、サンリオ版で問題を感じていないので買っていません。
この本が出た当時は、まだまだディックの翻訳は進んでいませんでした。ディックの長編としては7冊目だったのではないかと思います。すぐに、サンリオからドドドッと出てくるのですが。
作品としては非常に良く書けています。
新聞の懸賞クイズを毎日仕事のように解き続ける主人公。
しかし、日常の中に違和感を感じるようになり、脱出を試みます。そして、懸賞クイズは見掛け通りのものではなく、世界を救う大変な重圧の伴うノルマだと‥。
現実が見掛け通りのものではないというのは、ディック作品では良くある展開。しかし、その中でも現実が見掛け通りではないというのが怖い感じは良く出来ていると思います。後期の作品のようにストーリーが崩壊したりもしない。
TVシリーズの「プリズナー」と比較したコメントを見たことがありますが、とっても良く判ります‥(^o^)