上田早百合最新作です。
今回は図書館。
直木賞候補に上がった前作が良かったので、大いに期待しました。悪くないのですが、期待したほどではありませんでした。
読後感としては、佐藤亜紀を読んでるみたいな感じでした。
第一次世界大戦期のドイツ、フランス、ルーマニア、セルビア方面のお話しです。戦争の陰鬱な描写をリーダビリティ高く描いていて、そこらへんが佐藤亜紀な感じでしょうか。
人ならぬものが主要登場人物なのですが、そこらへんは割と違和感が最後までつきまといました。このテーマで、こういうものを書くのに、魔物が出てくる必然性をどうも理解できませんでした。
定命の人間たちの業の物語で良かったのではないかなと思いました。その方が重みもあったのではないかという気がします。