ラーゲリより愛をこめてを見る

 WOWOWの戦争を考える映画の目玉です。

 日本兵の役をやらせたら当代随一ではないか(「硫黄島からの手紙」、「潜水艦カッペリーニ号の冒険」)という二宮と、生き別れの美人妻に北川景子と言うキャスティング。これは映画館に行かねばと思ったのですが、折からのコロナ巣ごもりで逃しました。

 今回はじめて見ましたが、予想を上回る快心の出来栄えだったと思います。

 主役二人もそうですが、ラーゲリで収容生活を共にするメンバーがみな良かったです。日本軍での階級を笠に着て暴力を揮う相沢軍曹を演じる桐谷健太ハルビン時代の上司であり、ダモイ寸前の山本を再びラーゲリに引き戻すように売ってしまった安田顕

 実は日本軍兵士ではなく漁師なのに拉致されてラーゲリに送り込まれた中島健人。軍隊での暴力もラーゲリでの反動にも目を背けて逃げる卑怯者の松坂桃李

 この4人が、1ページずつ山本の遺言を暗記して家に届けるエンディングは圧倒的です。順番は安田が最初で桐谷が最後でした。遺恨のある二人が結果として山本の遺言を届けるのは巡りあわせです。

 

 ラーゲリ内での描写は、山崎豊子の盗作騒動で揉めた「不毛地帯」の第一部を思い出しました。ラーゲリでの反動告発で軍曹や元上司がボコボコにされるのはお約束。