☆トラジェディを読む

 同じヒューゴー傑作集6からです。これもポール・アンダースン

 先のトリプルクラウンの翌年、こちらもヒューゴー、ネビュラのダブルクラウン。この頃のアンダースンは人気が高かったのですね。本編は深町真理子さんの訳です。

 誰もが生体情報をリアルタイムでネットワークに保存する腕輪を付けている近未来です。で、主人公は死んだ妻を上記情報を使って再生してもらうように頼みに行きます。すると、ネットワークは再生してくれるのですが、家に帰りつくまで決して振り向いては行けないと約束させます。ギリシャ神話で妻エウリディケを冥界へ迎えに行くオルフェウスの話しそのままです。

 近未来とギリシャ神話の融合した一編ですが、そのスタイリッシュさたるや、後のゼラズニイのようです。これのダブルクラウンは納得です。ゼラズニイ登場の遥か前にこんなものを書けていたのかとアンダースンの才能に驚きます。