再読です。
17年ぶり。
御存知、ヒューゴー、ネビュラ、ローカスのトリプルクラウン。それなのに星雲賞では、「エンディミオンの没落」とぶつかってしまい受賞できませんでした。と言っても日本での評価が低い訳ではありません。
コロナを経験してから読むと、いろいろと感慨深いですね。特に21世紀パートのインフルエンザが。
それにしても重要な登場人物が次々に命を落としていく読んでいて辛い大作です。
p356
「わたしから隠しておけといわれたことは、ほかになにがあるんだ?」とダンワージーは詰問した。「わたしが意識不明でいるあいだに、ほかにだれが死んだ?」
モントーヤはコリンをとめようとするように細い手を上げたが、手遅れだった。
「メアリ大叔母さんだよ」とコリンはいった。
これは衝撃でした。まさか、メアリが死ぬとは予想もできませんでした。もっと先に死ぬべき人がたくさんいるのに。
p388
アグネスが死んだのは一月二日だった。最後まで、迎えにきてとキヴリンの名を叫び続けていた。
p420
「リンゴを落としたわよ」といって、ロズムンドに返そうとふりかえった。
ロズムンドの手は、落としたリンゴを拾おうとするように前にのばされたままだった。
「ああ、ロズムンド」とキヴリンはいった。
p465
「父よ祝福を与えたまえ。わたしは罪をおかしました」とローシュはラテン語で祈りはじめた。
罪をおかしてなどいない。彼は病人を看病し、死にゆく者に赦しを与え、死者を埋葬した。赦しを乞わなければならないのは神のほうだ。
筆者が一番好きなキヴリンの内白です。
本当にその通りだと思います。神よ懺悔せよ!