「九段下駅」の影響で士郎正宗を読みたくなり蔵書から発掘して来ました。
久しぶりに読みましたが、すごいです。
クトゥルフならぬ九頭炉を起動して帝国内の邪念を燃やし尽くそうというプロジェクト。これを仮学でやろうとする科学者の蛇目博士と、竜法でやろうとする宗教家のフゼン道人の確執から始まります。劣勢のフゼンが炉を支配する式を娘のセスカに預け、セスカは自身の野望を抱きます。事態収拾のためにフゼンが竜法で呼び出した破壊神スサノオも加わって事態は混沌を極めていきます。
仮学(カガク)と竜理(ロンリ)の対決。神(スサノオ)と邪神(?)九頭炉の対決を軸に、重層的な黙示録が展開されます。
設定の難解さや、これでもかと詰め込まれたガジェット(小文字説明)で、リーダビリティは決して良いとは言えませんが、それでも一気に読ませてくれます。一冊で完成していることもあって、亡くなられたKOSさんとも「士郎正宗の最高傑作はORION」と同意したのが懐かしいです。