成吉思征西記をソロプレイする

 やってみました。
 うーん、意外に見慣れないシステムが主骨格を成していて、とても初心者向けとは言えません。
 ただ、ゲーム自体は面白いので、なかなか評価の難しいゲームです。
1:独立した戦闘フェイズがなく、移動中に攻撃するシステム
 これは時々見掛けますが、攻撃側が戦力の集中を計れないので、普通の作戦級ウォーゲームの常識やテクニックが使えないので、これを入門編としてやらせるのはどうかという気がします。
2:極端に攻撃側有利なCRT
 上記の問題を踏まえて、それでもチンギス軍の猛進を表現するためなのだと思いますが、非常に攻撃側有利なCRTを使います。
 さらに、攻撃側は一旦戦闘比を算出した後に、自軍ユニットを一個除去するごとに右2コラムシフトできる突撃というオプションがあります。これがあるので、ホラズム軍の有力部隊が籠城している都市でさえ正面攻撃で落とすことは可能です。これも、普通の作戦級ウォーゲームの感覚からすると異常な感じを受けます。と言うか、これが当たり前だと思って他のゲームに進んでいくのは不適切な感じ。
3:突撃の制約
 上記のように突撃は極めて強力なのですが、二つの制約があります。
 1)攻撃側の部隊の半分以上を突撃で消費できない。なので、3ユニットスタックで攻撃するとして、突撃で消耗できるのは1ユニットだけ、したがって2コラム以上のシフトは得られません。スタック制限が5ユニットなので、マックスの5ユニットで移動攻撃する時だけ、2ユニット突撃させて4コラムシフトを実現できます。
 2) モンゴル軍正規部隊が除去されると、-3VPというのが非常に痛いのです。なので、突撃で消費するのは原則として徴募兵。
 3) ところが、ゲーム開始時にはモンゴルに徴募兵はいません。開始後に徴募することはできるのですが、そのためには占領したホラズム都市を廃墟化する必要があります。ところが、廃墟化すると占領時の2VPが1VPに減ってしまいます。なので、突撃によって得られる戦果と減少するVPを睨んで戦略的判断をする必要があります。ここらへん、ちょっと初心者向けには難しすぎる気がしました。逆に言えば、正規部隊による突撃だって、得られる戦果が十分に大きければアリとも言えます。
 それ以外にホラズム軍側の態勢のルールがこれも独特。
 デフォルトは野戦モードなのですが、態勢変更フェイズにだけ籠城モードに変更できます。ただし、これができるのは都市へクスでだけです。都市に特に防御効果がないので、これをやらないと拠点都市を守ることができないのですが、籠城モードにすると移動不可・攻撃不可になります。さらにZOCもなくなるので、どういうタイミングで籠城するかは結構むずかしい。
 また、CRTが攻撃側に有利で、ホラズム軍も突撃を利用できるので、反撃のチャンスと見れば攻撃は選択肢になります。モンゴル正規軍を撃破すれば前述したように-3VPという強烈なインパクトを与えられるのですから。ただ、籠城モードにしてしまうと機会があっても逃すことになるので要注意。ただ、機会かどうかはモンゴルの移動フェイズにモンゴルが徴募兵を消費してしまったことで起こるので、そのタイミングでは態勢変更できないので非常に難しい。裏を返すと野戦モードのホラズム軍の周辺では、モンゴル側は反撃されて正規軍が撃破され得るようなシチュエーションを慎重に回避する必要があります。しかし、これを恐れていては徴募兵を利用した突撃ができなくなってしまうというジレンマもあります。ここらへん、非常に独特の面白さがあって良いゲームだと思うのですが、いかんせん初心者向けとは言えません。

 侵攻開始です。シル河を渡ってホラズムへ進入した所です。

 ホラズムの都市を焼いています。前述した通り、これをしないと徴募兵が取れず、突撃用の消耗要員が得られないのです。

 モンゴル側が積極的に突撃してくるので、突撃で徴募兵を失って損害吸収部隊がいなくなったタイミングを狙ってホラズム側による反撃。ホラズムも突撃を使って、モンゴル正規部隊2個が失われました(-6VP)。

 ゲーム的には36VP取らねば勝てないので、ここで諦めて片付けました。