また少し空いてしまいました。
すっかり普通に出てくるようになった喜三二と吉原紹介本の企画を議論する蔦重。
空蝉の足抜けを黙って許さないいねは、新之助が居候していた平賀源内亭に詰問に来て、源内が知らないと言うと、エレキテルを人質に持ち出して遁走します。
誰かが捕まったと聞いた蔦重は、すわ新之助かと思いましたが違いました。鱗型屋がまた捕まったと言うのです。
手代の徳兵衛が店主に相談せずに一存でやったこと言うのですが。
聞けば、あちらこちらにツケをしていた鱗型屋の出した証文が流れて、当動座の座頭金に渡ってしまい、厳しい取り立てに困って手持ちの偽板でアルバイトしたというのです。
話しを聞いた蔦重は、鱗型屋の不良在庫の細見を多少なりとも買い上げようと訪問しますが、蔦重にくしの鱗型屋は応じません。
さて、ここで当道座の仕組みのお話し。
もともとは神君家康公が弱者である盲人を自立させるための座として設け、そこに公金を投入して彼らに金貸し業を許したというのです。
江戸の高利貸しと言えば、大富豪同心の卯之吉の実家の札差が有名ですが、この時期、幕府は札差の高利貸しを問題視して禁止し、困った金の要る人々は当道座へと流れ込み、結果として各所の当道座は湯水のような利息を取り立てて巨万の富をなしていたというのです。
この当道座の総括職が検校で、末端の実践部隊が座頭なのだそうです。
座頭は、盲の金は家康公から預かりしものと主張し、非常に厳しい取り立てをしたのだそうです。
直接は鱗型屋を助けられないので須原屋経由でと相談に上がった蔦重は、そうした絡繰りを聞かされます。須原屋曰く、
松葉屋に寄ると、育ちの良さそうな武家の女の子が連れられてきています。
と冷ややかに答える松の井。
ここで話しは幕閣に移ります。いままであまり関係のなかった吉原と幕閣でしたが、白眉毛の石坂浩二が
と、田沼に詰問します。
田沼は、
と答え、これは予想されていたことと反論します。
武元は重ねて
幕府の税収も米、働く旗本への給与も米という時代ですから、米の値を上げれば良いはずというのは単純な発想です。当時は通貨価値下落によるインフレとかいうメカニズムに対する理解はなかったのだから止むを得ないでしょうか。
田沼は当時の人間としては破格の経済理解度を持っているのですが、相手にそれを説明されて理解する素養がないのでいかんともしがたいのです。
しかし、このままで良いとも思われません。
と当道座の調査を命じます。一方、借り方の江戸城、西の丸(大奥)の借金状況も長谷川(大富豪同心)に命じて調べさせます。
さて、江戸市中神田に戻ります。
神田を歩いていた蔦重は、大文字屋とすれ違います。
また幕閣に戻ります。
借金で首が回らなくなり逐電して出家した森の話しです。
息子の任官のための賄いを借金したというのです。
さて、西の丸の借金状況調査が田沼に上がってきました。その人数と、総額に絶句します。
神君家康公の当道座設立の主旨に異論はなくとも、これだけの暴利を挙げているものをお上が保護するいわれはありません。
今回スイッチが多いのですが、再び吉原。夜半に蔦重を呼び出すものが来ます。
どれほど愛情を掛けてもそれを理解してくれない勢川に苛立つ検校は、その原因が勢川の本への偏愛にあると睨んで、吉原の本屋を呼び出したのです。
物騒な話しです。
それを聞いた勢川は、
今回の番組最後の紀行も、当道座でした。
八橋検校碑
杉山検校治療所跡
が紹介されました。