男たちの旅路:冬の樹を見る

 どうしてタイトルが「冬の樹」なのか、良くわかりませんでした。

 ロックバンド「ゴダイゴ」の追っかけの女子高生が倒れてしまい、軽い脳震盪だから大丈夫と言われましたが吉岡と鮫島は彼女の家まで送っていきます。

 すると、彼女の父親は感謝するどころか、「とても大丈夫っていう状態じゃないじゃない」「謝れば済むと思っているの?」と吉岡に詰め寄ります。

 どう考えても相手の側が理不尽なので鮫島は、いつ吉岡が切れるかとひやひやしながら同席していますが、結局、両者は何も相容れないまま帰社します。

 すると翌日、吉岡は社長に呼ばれ、「これを持って頭を下げてきてくれ」と言われます。「いくら入ってるんですか?」「三万だ」「渡す必要ありませんね」という意思の不通はあったものの吉岡は行って三万円を渡しました。すると、父親は「こんなものを渡すなんて、わたしの電話の主旨を何もわかってないんじゃないの」と激高してみせます。いま流行りのカスタマーハラスメントです。いや、そもそも警備依頼主ではないので、カスタマーですらないのですが。

 そんな激突の末に、今度は「吉岡に何らかの処分をしろ」と要求する電話が掛かってきます。

 田辺警備会社の首脳部が集まって議論になりますが、大沢司令補(橋爪功)は吉岡がことさらにことを荒げていると批判的です。結局、吉岡は一時休職ということになります。

 しかし、一方で件の女子高生は吉岡の車を追ってきて「あんたたち悪くない」と言います。 父親は子育てに関しては放置状態で、彼女は叱られたことがないというのです。

 クライマックスで吉岡は言います。「あの子は、まだ一人前じゃないんだ。叱ってやらなきゃいかんのだ。抱きしめてやらなきゃいかんのだ・・」

 この回ではいつもの吉岡と若手の断絶ではなく、意外にも吉岡がいちばん女子高生の気持に寄り添えるという進行となっておりシリーズ中の異色作と思いました。

 某所で、本作は当時の山田太一と娘の関係を反映しているという意見があり調べてみると、本作放映は1977年。この時の山田は43歳、長女の宮本理江子(101回目のプロポーズの脚本家)は13歳(中学2年)だそうです。

 DVDの状態が悪く再生がしばしば止まるので、こちらを大いに参考に止まって見られなかった部分を埋めました。ありがとうございました。

https://peachredrum.hateblo.jp/entry/2023/05/21/094204