☆福家警部補の報告を読む

 図書館です。

 福家警部補の三冊目。

「禁断の筋書」

 少女漫画家が、自分のデビューのために切り捨てた共作者が担当編集者になって自身の復活を妨害してくるのを疎んで殺してしまう話しです。

 TVシリーズでは犯人に富田靖子を迎えて映像化されました。

「少女の沈黙」

 解散した組の今では堅気のおじさんが、先代の娘を人質に取って組の再興を目指す若手を殺してしまう話しです。

 犯人の人柄が非常に魅力的で、映像化するなら犯人はきっと菅原文太だろうかという感じです。実際にはTVシリーズで、岩城滉一を犯人に迎えました。

 解散した後も先代に頼まれて若い者たちが堅気で社会でやっていけるように常日頃から目配りしているのですが、それでも血の気の多いのは対立する組とのドンパチが恋しくて‥、というのは、「親の心、子知らず」というやつなのだと思います。

p197

 浜田が拳で机をたたいた。「細かいことはどうでもいいだろう。俺がやったって言ってんだから」

「そうはいかないわ。新聞やテレビを見ていれば、大体の状況は判る。細かい点について、きっちり供述してくれないと」

 浜田は舌打ちして横を向いてしまった。

 福家は相手の顔を覗き込むようにして言う。

「こんなことをしても無駄よ。あなたにも判っているでしょう」

 相手の目に凶暴な光が宿る。石松は思わず身構えた。

 浜田には山のような前科がある。暴行障害で二度、逮捕、起訴されており、十年以上、刑務所に入っていた。肝の据わり方は半端ではない。

「あんたこそ、やばいんじゃないのか。昨日の件、聞いてるぜ。菅原さんを疑うなんて、とんでもないこった」

p201

「西新宿署に寄っていただけませんか」

「どうして?」

「阿東という若者が、取り調べを受けています。栗山次郎と金沢を殺したのは自分だと、自首してきたそうです」

「あのバカ野郎が‥」

「すぐに帰れるよう、話は通しておきます」

「すまねぇな」

 菅原は携帯をだし、遠山に掛けた。

「阿東の件、知ってるか」

「はい、さっき警察から連絡がありました」

「バカ野郎!若いヤツ一人、抑えておけねえのか」

p216

「しかし、あんたの執念にも恐れ入るよ。どうして、そこまでできるんだ?」

「あなたこそ、どうしてそこまでできるのですか。元構成員のために、あなたは走り回っています。もう組は解散したのですよ。見返りがあるわけでもないのに」

「金なんて問題じゃねえ。これは、俺がやるべきことなんだよ」

「私もです。これは、私がやるべきことなのです」

「女神の微笑」

 TVシリーズの最終回、犯人に八千草薫を迎えて映像化されました。

 老夫婦が法の網を潜り抜けてしまった犯罪者を私刑で殺していく話しです。

 たとえどういう理由があるにせよ、殺人は殺人ですから福家の捜査を免れられませんが、この犯人は非常に優秀で福家と互角以上に渡り合います。後書では好敵手として再登場するのではないかと予想されています。

p271

「七年で四件、合計六人だ」

 重苦しい沈黙が下りた。

 二岡は二人の顔色をうかがいながら、口を開いた。

「あのう、これは、どういうことなんですか?」

 答えたのは石松だった。

「いままでにもやってやがったのさ。後藤夫婦だよ。あいつら、法の目をくぐり抜けた犯罪者を始末してやがったんだ」