〇福家警部補の災難ほかを読む

 図書館で「福家警部補」で検索したら、これが出てきました。本格ミステリー07に収録された一編。困ったことに、後の福井警部補短編集に収録されていないようです。
 なので図書館で借りてきました。

 豪華フェリー、マックス号の中で発生した殺人事件。船は荒海にかこまれた列記とした密室です。刑事コロンボシリーズの「歌声の消えた海」へのオマージュかと思います。

 船長は定例に従って、お客様の中に警察の方は?と問い合わせますが、あいにくといません。そうした所に発見されて連行されてきた密航者、そうです福家です。
 密航者とはいえ警視庁の警部補と聞いて、これは得たりと捜査を依頼します。
犯人は警備会社の社長で、広い意味での同業者であり、今回も手強いです。しかし、ウィスキーボトルで殴打して殺した時に死体の下にガラスの破片があるという物理的矛盾を見過ごして、最初から福家に犯人と推定されてしまい、例によってしつこく質問攻めにされてしまいます。
忠臣蔵の密室」タイトルが興味を惹いたのでこちらも読んでみました。田中啓文
忠臣蔵で吉良邸に討ち入って、炭小屋に吉良を発見して見たら、既に殺されていたという。しかし、辺りの雪には同志以外の足跡はなく、誰がどうやって吉良をころしたのかという密室の謎。
これを息子の主税から手紙で問われて、その手紙だけで水瑞院が解いてしまうという嘘のようなお話し。
赤穂藩の忍びである塩の者が活躍するのがちょっと嬉しいです。
「想夫恋」本書編纂の本格ミステリ作家クラブの当時の会長が北村薫さんだとは寡聞にして知りませんでした。大正ロマネスク風で、琴のお稽古で知り合った華族のお嬢様とウェブスターの小説について語り合うようになった主人公は、蒸発した彼女の行方を探るために、彼女がウェブスターばりに残した暗号に取り組みます。
正直に言って、これは消化不良な感じでした。謎解きにあまり納得感がありませんでした。北村先生というと、「スキップ」三部作の人なので、ハードルが上がってしまったのが良くなかったでしょうか。