ファイナルコメント

bqsfgame2005-11-15

定評のある「アサルトオンホス」のシステムを流用したゲームということで期待していたのだが、ソロプレイした印象としてはイマイチ。
理由として、最初からバンカー周辺に兵力が集まっていて機動の妙味がない。このため、射撃カードを引いて撃ち合うことばかりに重点があり、作戦選択の妙味や、局面が進んで行く面白みがない。
時代は違うが近年の「ジェダイ・アンリーシュド」と近い、密集した状態で殴り合って急速に部隊が削れて行くシチュエーションのゲームである。
とかく日本では「ゲームシステム論」が先走ってゲームを楽しむことより優先されがちという意見があるが、当方などもその嫌いがある。このレビューでも前日は正にシステム論をやった訳だが、同じシステムでありながら状況設定が違うとこうも面白さに差が出てしまうという見本だろう。
ウォーゲームでヒットした作品に対して、システムを流用して違うシチュエーションを描いたりしてシリーズもしくは準シリーズ化するケースが良く見られる。しかし、往々にして第一作が面白かったほどには後続作は面白くない。そのあたりもこの辺と共通する。
シチュエーションにはそれに適したシステムがあり、システム自体の面白みと言うのが独立して存在していて他のシチュエーションに持っていっても通用するわけではないということかも知れない。
戦術級ゲームでシナリオ形式で遊ぶものなどでは、「面白いシナリオ」と「つまらないシナリオ」が出てくるが同じことだろう。ゲームシステム論をするときは、ゲームシステムの威力を過大に見積もらないよう注意しないといけないのかも知れない。
少なくとも言えることは、移動アクションと射撃アクションの両方に作戦的な意義があるシチュエーションの方が、このシステムにはふさわしいのではないかということ。同じことは実は「アップフロント」でも感じる。カードプレイの中で、デッドなカードが増えてくる状況はカード運用システムの魅力を、最大限には引き出していないだろう。