フェローシップ・オブ・ザ・リングを入手

bqsfgame2005-12-11

指輪物語のゲームは数あれど、小品は別にして本格派のゲームで物語の全体を描き出すものとしては、SPIの指輪戦争、コスモスの多人数協力ゲームの指輪物語、FFGの指輪戦争、そしてこのICEの「フェローシップオブザリング(以下、フェローシップ)」の4つを挙げて置けば良いのではないかと思う。
SPIもかなりシミュレーション派のメーカーなので原作のガジェットを広くカバーし、フェローシップの旅と、指輪戦争の軍事的な側面の双方を網羅した当時の水準としては複雑多岐に渡るゲームをデザインしていた。そして、この試みは非常にまとまり良く成功しており、半日強のプレイで全貌が見渡せる良い感じのところでまとまっていた。
これに対してICEが出したのがフェローシップである。ICEはRPGの方でも妥協なき詳細なデザインをした作品で知られているのだが、このフェローシップもかなりのものと悪評が高かった。カバーしている範囲はフェローシップの旅の部分だけで軍事的な部分の再現まではしていないようなのだが、旅のガジェットはSPIを上回る徹底したカバーぶりだという。まだルールを眺めていないのだが、肝はいわゆる積木システムによるブラインドシステムで、互いに相手の意図や動きが見えないようになっているらしい。思えばSPI指輪ではフェローシップの旅路はメンバー構成こそ見えないが、どこを歩き回っているかはサウロン側から見えていた。コスモス指輪は重要な場面ごとのスゴロクになっていて、拡張の友と敵で戦況によって場面をスキップして異なる場面を選べるようにはなったが、基本的には非常にアブストラクトで選択のない仕組だった。FFGの指輪戦争ではフェローシップの旅は極めて抽象的に扱われ、何歩進んだかだけが管理され、発見されたときに実は何処を通っていたのかを決められるというゲーム的には管理しやすいがリアリティのない仕組になっていた。
これに対してフェローシップでは噂コマという形でダミーも含めた積木が動き回り、どれが本物か相手にはわからないが、自分では既に意思決定しなければならない仕組になっている。フェローシップの旅のシミュレーションとしては、これが一番もっともらしいシステムだと思うのだが、どうしたものか他のゲームではこのシステムが採用されていない。上手く機能していれば、このゲームこそ決定版になっていて良かったはず。
ところが、伝聞情報ではこのゲームの難易度とルール記述の甘さが災いして、きちんとプレイすることができないとか、12時間は掛かるとか、いやそんなものでは終わらない‥とか言う恐ろしい話しばかりが聞こえてきていた。
その一方で、そのハードルを越えてプレイした人は、ほとんど例外なく「指輪物語の決定版はICEのフェローシップ」と言っていたりもするのである。正に伝説のゲームと化していた。
近年になってボードゲームギークに、このゲームをやりこんだプレイヤーが作ったルール要約と、それぞれの陣営のキャラクター能力の要約がアップロードされ、どうやらこれらがあれば8時間くらいではプレイできるらしいという話しになってきた。そこで、ついに(?)勇を鼓して入手することにしてみた。
折角入手したからには一度はプレイしてみたいものだが、なにせブラインドシステムなのでルールのエラーがチェックできない。このため、プレイヤーが両方ともきちんとルールを理解した上でないと満足な対戦はできないらしい。果たして相手を見つけてプレイする場を立てられるかどうか‥。FFG指輪戦争を上回る難問になりそう。