ゲーリー・ガイジャックス死す

bqsfgame2008-03-04

既にあちらこちらで報道されているが、ガイジャックス氏がなくなった。
わたしの世代のゲーマーであれば知らない人はいないと思うのだが、ロールプレイングゲームの原点「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の共作者の一人。オリジナルの手作りのコピー1000部は、売り切れるまで9ヶ月かかったというが、その反響を信じてTSR社を設立、ゲーム界に全くの新ジャンルを作り出すビッグヒットとなり、アメリカンドリームの一つとなった。その後は必ずしもサクセスストーリーが続いた訳ではないが、亡くなる直前までファンや友人を自宅に招いてD&Dダンジョンマスターをやっていたというのだから、本当にD&Dそのものと言うべき人だったのではないか。
ガイジャックス氏自身がD&DでRPGという分野を創設するまでは分野自体がなかった訳で、必然的にそれまではガイジャックス氏も既存のジャンルのゲームをプレイしていた訳だ。実際、AH社から再版された「アレクサンダー大王」はガイジャックス氏の作品だったりする。他にも「チェーンメイル」というミニチュアゲームルールをデザインしていたりもする。その意味ではウォーゲーマーの同志だった訳で、その人が新しい野心的なゲームを作った訳だ。ウォーゲームとRPGが同根である所以だ。
RPG黎明期には、両者の境界は混然としていた部分があり、AHの「マジックレルム」、「ガンスリンガー」、SPIの「ウォーオブザリング」、「フリーダム・イン・ザ・ギャラクシー」、「火星の大元帥カーター」など個人の冒険を題材にRPG的な取り扱いを部分的に持っているゲームが少なくなかったと言う気がする。SPIの「ソーズ・アンド・ソーサリー」に、ガイジャックス・ドラゴンロードというキャラクターが出てきたりもしたものだ。
TSR社から外れることになった経緯以後のガイジャックス氏については、あまり語っても意味がないと思うので此処では避けよう。こうして亡くなってみて思うことは、ガイジャックスほどD&Dを好きな人は他にいなかったのではないかと思うし、D&Dについてこそ語ってもらうことが彼の本意ではなかろうかということだ。
いずれにせよ彼がいてこそD&Dがあり、RPGというジャンルがあり、今のゲームデザインの進化の一つの大きな側面がもたらされたのだと思う。ちなみに1938年生まれ、69歳だったとのことである。