ゲームの中のスターリングラードを読む

bqsfgame2016-05-13

商業版GJ47号の記事です。
2000年に「スターリングラード戦役」をデザインした中村氏が、13年ぶりに同じ戦線に戻ってきました。普通は同じデザイナーは同じ戦場に戻ってきません。もちろん、ダニー・パーカーみたいに、ずっと同じ戦場ばかりデザインする例外はいますが‥(^_^;
基本的には同じデザイナーが同じ戦場で新作を出すのは、前作が不完全だったことの証明と見なされるのであまり実施されないのです。ただ、このゲームについて言えば、GJで大成功した「激闘‥」のシステムでやり直すという意味だったので、あまり問題にされることもありませんでした。
で、GJ恒例の付録ゲーム関連ゲーム総覧ですが、やはり一度やったことがあるせいか、切口を変えてきました。「戦略級ゲームの中のスターリングラード」ということで、独ソ戦全体を扱うゲームの中でスターリングラード作戦がどう扱われているかという議論を中心に据えました。
出てくるゲームは、AHクラシックの「スターリングラード」、ジェドコの古典「ルシアンキャンペーン」、SPIの巨人「ウォーインヨーロッパ」に加えて、エポックの「失われた勝利」、積木の「イーストフロント」と並びます。
青作戦系のゲームで前回記事に載っていなかったものとしては、「サンライズオブヴィクトリー」が加わっています。改めて考えると、この作品は期間こそ青作戦の切出しなのですが、モスクワもレニングラードもマップにあるので、どちらかと言えばバルバロッサ作戦2年目というか、「ブリッツクリーグ41」の続編と言う色が強いように思います。それはそれでありなのかなと思うのですが、筆者はプレイしていません。
他は、エポックの「スターリングラード」、TSR−SPIの「ドライブオンスターリングラード」と、前のGJ付録となっています。
この号が出たのは2013年になり、13年も経っているのですが、結局は青作戦のゲームは今でもエポックとTSR−SPIなのかと思うと、残念な気がします。
青作戦の規模と重要性と知名度を考えれば、13年間で記事で語るべき新作がなかったというのは、ウォーゲーム界にとって悲しむべきことと思います。
筆者は、近代以前や、COIN、中南米などのマイナーテーマ志向なので、気付いていなかったのですが、青作戦ほどの題材に有力な新作がないのは、どうかという気はします。その意味でも、今回の「ファルブラウ」には大きな期待を寄せています。