×第20期囲碁名人戦全記録を読む

bqsfgame2008-08-13

第20期はいろいろな意味で珍しいことが起こった名人戦だったと思う。
先ず名人戦男:大竹英雄の姿が見えなかった。前期でまさかの陥落をしてしまい、トーナメント復活もならなかった。
次に昔は毎年のようにリーグ優勝、挑戦者発言を繰り返していながら一向に果たせないでいて、もしかするとこのまま挑戦者にならないのではないかと思われ始めた武宮正樹がついに挑戦者になった。
そして、前人未到の7連覇を果たしていた不動の名人、小林光一が敗れる時がついに来た。
宇宙流で人気者の武宮がついに挑戦者になり、小林光一を討ち取って名人に就いたとあっては、さぞや棋譜も面白かろうと思うのだが、実は存外だった。第19期から前兆があったが、小林名人に変調がいろいろとあり、見損じや悪手による決着があったりして、意外に棋譜が充実していない。一方の武宮もこの時期には宇宙流から新武宮流へと変身を遂げており、なんと第1局、第2局は、ヨセ勝負の半目勝利だった。しかも、この2局ともどうも小林名人の終盤での失着の結果でのものらしい。と言う訳で意外に気勢の上がらない棋譜なのだ。
決着は第5局となったが、この局は武宮らしい模様の碁となり、それに小林が打ち込んで捌いて見せた。小林の勝利かと思いきや、此処でも最後の一捻りで小林名人にミスが出ての決着となった。そんな訳で、第19期ではミスをしても幸いなことに致命傷にならなかった小林が、第20期ではミスがそのまま致命傷となる棋譜を重ねて敗退していった。