○小林光一囲碁必勝講座:勝碁の決め方を読む

bqsfgame2014-11-07

方円書庫でも高く評価されている棋書、全盛時の小林光一講座三部作の最後。
2冊目までは発売当時に読破。しかし、終盤戦を題材とする3巻はどうしても棋譜が込み入って読みにくいので敬遠。この指摘は本書の冒頭にもある。アマチュア棋譜並べは終りまで並べない人が多い‥(^_^;
本講座は小林光一の打碁を題材としており、初手から出題までの棋譜も譜分けで付いている。なので、方円書庫指摘の通り、小林光一打碁集の側面もある。現代囲碁名勝負シリーズの後の本格的な打碁集がないと言われる小林名誉棋聖だが、棋聖戦名人戦の7番勝負本、趙治勲に三期連続で阻まれた本因坊戦の7番勝負本、そして本講座三部作などがあるので、実は探せばいろいろある。ただし、打碁集として、棋士小林光一棋士人生を浮き彫りにするような作りの物がないのは事実。本人が元気な内に実現して欲しい。
ところで内容だが、タイトルの通りに終盤の決め所の出題。小太刀の冴えを見せる場面、一番大きいヨセを探す場面の2種類に分けられている。
打碁集としてみると、棋聖・名人となった全盛期の棋譜で、相手は同門の先輩、加藤、武宮、ライヴァル趙治勲が多い。それ以外では林海峯、淡路修三が2局ずつ入っている。プロの間で評価の高い石田章九段も登場する。意外だが名人戦で激闘を繰り広げた大竹九段は登場しない。現代囲碁名勝負と違って、相手のバラエティを追及していないので当時の囲碁界を映す作りではないが、小林光一の頂点への軌跡は見える。