○新四天王のここが強いを読む

bqsfgame2008-08-28

囲碁」誌のおまけミニ冊子として展開された「山下のすごさ」、「張の鋭さ」、「羽根の強さ」、「高尾の厚さ」の4つをまとめた本。亡くなられた上村邦夫9段の最後のライフワークとして始まったが、残念ながら上村9段の死去で最後の高尾編は片岡9段が担当している。
まず企画としては素晴らしいと思う。
現代碁界を既に制圧している四天王について、それぞれの個性を理解してもらえる棋譜から局面図を持ってきて出題しながら解説すると言うものだ。こうした「棋風」の違いによる実際の着手や発想の違いを解説するものは、ありそうでなかなか成書としては見かけないので貴重だと思う。それも、このタイミングで四天王をまとめて出版されているのはタイムリーでもある。
その一方で雑誌の付録ミニ冊子として作られたので、紙面の都合が厳しい。入れたい棋譜が多かったこともあり、経過譜は手数が多く、解説の紙面は狭く、非常に窮屈な感じになっている。落ち着いて碁盤に石を並べて鑑賞しないと、とても紙面で目で追うだけでは理解しきれないのが残念だ。本当に落ち着いて鑑賞したければ、目当ての棋士を絞って、その棋士のタイトル棋戦の成書を買って読んで補強していかなければと思った。
個人的に我が家は朝日新聞が長かったので名人戦が馴染み深く、その意味では張名人の棋譜が一番アクセスしやすいのだが、四天王が相次いで就いたという点では本因坊戦(張→高尾→羽根)も面白いのかも知れない。最近、大竹先生の影響で「厚み」に敏感になっているので、高尾前本因坊棋譜が気になるというのもあるし。