☆コンスタンティノープルの陥落を読む

bqsfgame2008-12-10

と言う訳で、俄かにビザンティン帝国オスマン帝国の歴史に関心が高まって塩野先生の地中海興亡史三部作の名高い第一作の登場。
小説なので脚色されている部分もあるということだが、なかなか面白かった。この攻防戦に様々な立場で参加する様々な人の視点で切り出されている。
古代ローマの流れを正統に汲んでいるビザンティン帝国の最後であるだけでなく、地中海貿易の主役だったジェノヴァとヴェネツイアにとって大打撃となったコンスタンティノープル陥落。
この小説では最後の皇帝はかなり美化されて書かれており人物として魅力的に写る。
基本的には陸戦国家による陸からの侵略であった戦いだが、三方を海に守られた都市故に海戦の意義が大きかったことも分かる。マホメッド二世の奇策、船の丘越えの価値も感じられる。
塩野作品では戦闘シーンの迫力はもう一つと言うのは亡くなられた越田先生の意見だったかと思うが、世の大半の人はウォーゲーマーではないのだから、この都市の陥落の歴史的な多様な意義を描き出している本作は十分に満足の行く出来栄えなのではないかと言う気がする。