☆百年の孤独を読む

bqsfgame2009-02-17

亡くなられた越田先生に薦められた本と言うのは幾つもあるが、これもその一つだ。
ラテンアメリカ文学は一時は大ブームになり、本書はその中心的な書籍なので今更紹介の必要はあるまい。
ノーベル文学賞作家、ガルシア・マルケスの代表作であり、ラテンアメリカ圏ではソーセージ並みに売れたとまで言われる。
SF界では、ラファティが近いテイストだと思うのだが、ずっと手法が透徹していて1ページ目から最終ページまで全く揺らぐことなく南米にあると思われる不思議な村マコンドのブエンディーア一族の百年の顛末を語り続ける。どこまで真面目な話しで、どこから大法螺なのか区別の付かない、また付けさせない口調で延々と話しは続いていく。驚くべきエピソードの連続で、その中には多少なりとも政治的な色合いを感じさせるものもあるのだが、そこに特別のイントネーションを置くこともなく淡々と物語は最後まで進んで行ってしまう。
最後になって結局のところ百年の長きに渡る複雑怪奇な物語も、最初からジプシーの予言するところと寸分違わず、予言を成就することにのみなったのだということがわかってきて、冒頭に出てきたジプシーの能力の恐るべきことを感じさせ、物語はいささか唐突に終わる。
様々なものを含んでいたはずの物語だが、読後感は不思議に軽く、個人的には天才バカボンのパパが「これでいいのだ!」と一言、言って幕を閉じると丁度良いのではないかと感じた。ある意味で予定調和がきちんと取れて終っている見事なエンディングなのかも知れない。