ラテンアメリカ文学シリーズ第二弾。
これも国書刊行会の文学の冒険シリーズから。
チリのシュールレアリスト詩人アレナスの長編小説。
と言っても、そこはシュールレアリスト詩人の書く長編小説なので、ストーリーの整合性とかで読ませる訳ではなく、夢オチならぬ夢ハジマリで夢の中なのだから不条理は通り、イメージばかりがきらびやかに舞う作品になっている。
円卓の騎士物語のモチーフが物語の中に取り入れられており、かなり中世ファンタジー風でもあったりする。
物語性がまったくない訳ではなく、恋する幼馴染は実は兄妹であったり、現実では建築技術者である幼馴染の父が城主であったりする。そして、自分は幼い頃に一方を捨てることを余儀なくされた母に捨てられた兄であると同時に、城を滅ぼすことを運命つけられ、遠い他国で王子となる運命を得た主人公であったりする。
×を付けたが、どうしようもなくつまらないということではなく、面白そうな断片が随所にある。けれども、それを一本のストーリーとして紡ぎ上げようと言う努力が放棄されているところが、感性に合わなかった。多分、この作家にしても、シュールレアリズム系の他の作家にしても、もう読むことは当分はあるまい‥(^_^;