それにしては?

と言うことでスプロッターらしい重厚な計画性のゲームなのだが、それにしては少しおかしいかなと思うところもあった。特に大きかったのは、勝利得点の多くが、実際の進歩製品の生産によるよりも、工場建設による部分で得られることである。
プレイヤーは各ターンにエネルギーの蓄積をするか、数ターンに渡って蓄積したエネルギーで一気にアクションを実行するかのいずれかしかできない。そして、プレイヤー全員で24回のアクションを実行すると、ゲームは終了してしまう。そうすると3人だと、8回ずつしかアクションができないことになる。このため、原料から第一段階製品、さらに第二段階製品と進んでいくのだが、新工程が実際に稼動して新しい製品が生まれるようになってくる頃には、どんどんゲームの終了が近付いているということになっている。
そのため、本当に高次の製品を利用してビジネスを実行するよりは、途中の工場建設で得られるボーナス得点の方が比重が高いと言うことになっている。
結果として、高次の製品を生産して潤沢なビジネスで稼ぐ‥という夢は現実になろうとする時にはゲームは終わってしまう。この辺りは、すごく長期展望が立てられるメカニズム構成になっていながら、本当にそれが稼動することはないので、非常にフラストレーティングな出来栄えになっている。
また、工場建設予定地が少なく、早々に埋まってしまう。このため、先行して工場を建設してリードしたプレイヤーを逆転することは極めて困難になっている。これも、ゲームの中盤には勝敗の帰趨が見えてしまうため、途中まででゲームが「オワ」になってしまっている感を強めている。
後は、製品が段階を追って進化しても、それほどプレイヤーのできることに進化がない。
「ローズ&ボーツ」では、新しい輸送コマが登場したり、局面が変わって違う生産物で違う戦術が主流になるような時代の移り変わりとテクノロジーの進化が劇的に展開される。
それに対して、本作はSF題材でありながら、ずうっと地味な印象を免れ得ない。
期待が大きすぎたのかも知れないが、少々、がっかりさせられたというのが本当のところだろうか。