○魔法の書を読む

bqsfgame2010-02-03

実は順序前後なのだが、ラテンアメリカ文学シリーズ第一弾。
国書刊行会は、最近は未来の文学シリーズでお世話になっている。しかし、この文学の冒険シリーズも近接した内容を含んでおり、折に触れてアンテナに引っ掛かってくる。今回は、その中から魔法の書だ。
魔法の書と言ってもRPGに出てくる呪文の書のようなものではない。それは、読んでも読んでも読み終われない、自分で自分を書き直し続けている不思議な書物だという。
この魅力的な題材の作品を表題作にして巻頭に持ってきたセンスは素晴らしいと思う。
全体としては玉石混交な短編集だと思うが、トールテール、推理小説、バイオレンスなど様々な要素を取り混ぜて、一気に読ませる。
出張があって一日で読み終えてしまったのだが、なかなか楽しい読書時間だった。
作者のインベルはアルゼンチンの作家で、短編が主力。いまのところ本書以外にインベル単独の書籍でまとまったものは邦訳されていないようで残念だ。