十七世紀のオランダのチューリップバブルは、日本でバブル経済がパンクする前後には類例として一部の経済学者などの間で引用された有名な事例。本来の価値に比して不当な水準まで高騰した物の価値が、右上がりの高騰曲線を理由に投機対象となり、さらに高騰を続けていき突然最後に破局する事例だ。
それを題材にしたゲームと言うから、シド・サクソンの「ディー・アイン・ミリオン」を思い起こさせる。
内容的には、確かに似たところもある。非常にシステマティックなゲームメカニクスのカードゲームだ。プレイヤーは、様々な色のチューリップの球根を購入し、また手持ち球根から1個を毎回売却していく。他のプレイヤーは、売りに出された球根に対して、マイルドな値上げを起こす購入を実施するか、あるいは急激な値上げを起こす投機を実施することができる。
購入、投機が続く限り、その色の球根の価格は上がる一方である。上がる一方だと言うことは、何を買っても含み益がどんどん発生していく訳である。そして、その限りにおいて、誰もがハッピーなわけだ。そして、ある所定の価格以上になった途端に、その色の球根はバブルブレークする。
バブルブレークした途端に、その色の球根は破綻処理される。球根1個に付き、対応するバイヤーカード1枚を持っているペアについては、ブレークしたときの最高時価で売りぬくことができる。それができなかった売れ残った球根は、ターンプレイヤーから時計回りに1個ずつ売却できるが、1個売却するごとに1ランクずつ価格が暴落していく。暴落では、価格が指数関数的に急落するので、3人目くらいから後は皮算用していた含み益など、ほとんど失ってしまうことになる。
購入価格は、経過時価で行われるので、序盤のほとんどただみたいな値段で購入した分については、別に損害を被る訳ではなく、正に途中のバブルで夢見た含み益を失うだけのことだ。しかし、中盤の既に高騰した価格で購入した分を、破綻価格で処理すると、実際に損害が発生する。この辺りは、まさにバブル経済の縮図になっている。
ゲームシステムはちゃんと機能しており、非常に教育的だと思う。しかし、プレイして面白いと言えるかどうかは微妙なところだ。
最初のバブルブレークする球根で、高値で売りぬいたプレイヤーだけがキャッシュを手にして後のプレイをリードするようになる。そのため、最初にハマってしまったプレイヤーは、どんどんプレイでイニシアチブを失ってしまうようになる。資本主義は金持ちに優しく、貧乏人には冷たい制度だということを身につまされる。それが楽しいかどうかと言うことは、プレイせずとも想像に難くなかろう。
あまり流行しそうにない新作‥(^_^;