下巻は二人の九段、藤沢庫之助と呉清源の打ち込み十番碁からスタートする。
そして、本因坊戦の高川秀格の時代が語られる。
その後が今我々が知る七大棋戦の時代へと繋がる新棋戦の時代になる。
鬼才、坂田が時代を成すが、それも束の間、林海峰が追撃してくる。その後は、石田芳夫を筆頭とする木谷門のオールスターが登場してくる。
この辺りから筆者がリアルタイムで知っている時代になってくる。
本書を読むと、江戸時代の本因坊制度の時代から現代までの囲碁史が接続されるようになる。その過程での人物の魅力と、勝負の流れがたっぷりと描かれている。
読んでいて痛感することは、江戸以降の囲碁界を語る上では新聞社の意向と言うより我儘が如何に流れを左右してきたかと言うことだ。
そのことは裏を返せば、魅力的な囲碁の棋譜が新聞の購読部数に如何に威力があったかと言うことに他ならない。
本書を読むと昭和囲碁史のスーパースターたちのドラマと人物の魅力をたっぷりと満喫させてもらえたので、筆者はあまり普段は棋譜集は読まないのだが、一ついずれかの先生の棋譜でも並べてみようかと思うのだった。