☆象られた力を読む

bqsfgame2012-12-25

ヴィーナスシティ、ハイブリッドチャイルド、蒲生亭事件に続いて、またしても日本SF大賞受賞作です。
2005年の受賞作なのですが、内容的には幻の作家、飛浩隆の85年から92年にSFマガジンに発表した代表作のリヴィジョンとなっています。
飛さんは、筆者がSFマガジンを読まなくなった頃に登場してきたので、実はちゃんと読んだことがありませんでした。
しかし、本書を読んで愕然としました。こんなスゴイ人を見逃していたとは大変な不覚です。
「デュオ」は、シャム双生児のピアニストを題材にした音楽SFです。シャム双生児物と言うと、先日のバルタザールの遍歴を思い出します。本書も音楽を題材にしていて、どこかヨーロピアンなテイストのある重厚な作品になっています。
巻末の表題作は、カードゲームのエンブレムマスターを髣髴とさせるパワーを秘めた図形を題材にした力作中篇です。テイスト的に無垢の暴力を感じさせて大原まり子さんに近いものがあります。これは大変な力技作品で、一読に値します。お題は見てのお帰りと言いたい所ですが、筆者は図書館で借りてきました‥(^_^;