マールバラ公は、ルイ14世のフランス軍を相手に主要な4大会戦、ブレンハイム、ラミリーズ、アウデナールデ、マルプラケを初め常勝不敗を誇りました。ところが、それにも関わらず英国は戦争に勝利できず、他の同盟国を見捨てて単独講和へと走りました。それは何故なのかは、スペイン継承戦争の戦争としての展開を見ると理解できません。それは結局の所、英国の政権交代と、アン王女とマールバラ公の妻サラとの破綻に起因します。なので、英国史としてこの戦争を理解することは不可欠なのです。
と言うことで、書籍としては適切な分析ですし、記述の詳細さも凄い著作です。
ただ、ウォーゲーマーが読んで楽しい読み物にはなっていない気がします。
また、英国史としての視点では、これに先立つ英国の清教徒革命や名誉革命の理解も必要で、そこは本書では前提となっていて触れられないので、敷居をかなり高くしています。