天頂の囲碁を相手に打つようになってから大分経つ。
最近は白番は三三と目外しが定番になった。珍しい部類だと思うが、そう言えばこんな布石の人がいたなと、同姓の石田芳夫本因坊を思い出す。
棋風と言うのは不思議なもので、自分でこうなろうと思って作ってきた部分もあれば、意図せずしてそうなった部分もある。
筆者が囲碁を真面目に勉強したのは高校生の頃だ。その時にはまだプロの先生の棋風の好き嫌いもなく、取り敢えず同姓だからと言う理由で石田九段をモデルにして、まずヨセを集中的に勉強した。これは今でも財産として残っている。
で、同じくらいの棋力の人が相手ならヨセ勝負に持ち込めば行けると思うようになってきた。
すると、ヨセ勝負に持ち込むことが必要になり、結果として大模様の碁や、大捕り物の碁は避けるようになった。今でも力戦の捻り合いは嫌いで、三つ子の魂なんとやらである。
で、局面を細分化し、一つ一つの生きを確保し、そして細かいままヨセ勝負に持ち込むと言うスタイルになっていった。で、この頃になるとプロの先生の棋風の違いも理解できるようになってきて、自分の棋風のモデルとして東野先生を選ぶようになった。当時は関西棋院の実力者の一人で、NHK杯優勝や名人戦リーグ入りなど、かなり活躍されていた。
その後、「厚み」と言う地には直接換算されないものの力で勝つ不思議を理解するために大竹先生の碁を勉強してみたり、秀行の世界のセットを古本で入手したりして、以前より厚い側に移動したかと思うが、それでも基本は意外に変わらない。
三三は隅を一手で打ち切って、足早に掛かりや割打ちに展開する意図。目外しは掛かりを迎えて掛けから辺に足早に展開する意図。いずれにしても足早に展開して、相手に大模様を作らせず、自分は弱い石を作らないようにと言う意図である。
「布石とヨセは好きだが、中盤戦は嫌いで」と言うと、力自慢の人たちからはエイリアンを見るような眼で見られるが、そういう棋風に昔から自然に仕上がってきたので、自分的には違和感はない。