☆四次元への飛行を読む

bqsfgame2013-10-02

SFスキャナーダークリーがお休み中でさびしい。
その最後に紹介された野田大元帥のアンソロジーを購入して読んでみた。
航空SFと言うジャンルは聞きなれないが、飛行機大好きの大元帥らしい。
日本SFの第1、第2世代が並ぶ錚錚たるラインナップ。これで面白くないとはいえない‥(^_^;
巻頭に持ってきたのは、現代版の空のマリーセレストを描く半村良。半村先生とはなんとなく縁が薄くて、あまり読んでいないのだが、久しぶりに読むと達者な筆は健在。
で、巻末が小松左京のお糸と来る。うーん、アンソロジーとはこうやって仕上げるものかと思う。お糸は一種のオルタネートヒストリーもので、江戸時代に現代技術を持ち込んでシームレスにつむぎ上げた傑作。現代文明の利器がカタカナ語ではなく江戸風に表現されているのは芸の細かい所。
山田正紀の地球軍独立戦闘隊は、知らなかったがSFM掲載時から本書収録時に大幅改稿したのだそうだ。実はこれを表題作にした短編集は我が家で積読になっている‥(^_^;
星新一先生の空の死神は、いかにも星先生らしいアイロニカルなショートショート
かんべむさしの追い越された時代は、決戦日本シリーズと並んで作者の最高傑作だと思う。久しぶりに読んだが、なんと心ときめくことか。
筒井先生もいるのはビックリ。あんまりメカニックに愛着があるとは思えないのだが、五郎八航空は、いかにも人を食ったローカルエアライン話し。ある意味、伝奇物と言えなくもない。
それにしても、錚錚たる顔ぶれを集めて野田先生が編纂した会心のアンソロジー。創元さん辺りで再版してくれないものだろうか。このまま埋もれてしまうには惜しい。