サイドエフェクトを見る

bqsfgame2013-10-04

ソダーバーグ監督が、まだ50才なのに映画監督を引退すると聞いてビックリ!
ソラリス新版の時にDVDで見て、これは映画館に行くのだったと後悔した苦い思い出の監督です。世間的には弱冠26才で、セックスと嘘とビデオテープでカンヌを制した男と言った方が良いのでしょう。そこから数えて24年。本人的には、ハリウッドにはもううんざりしたのでしょうか?
で、見に行こうと思って検索してビックリ。まだ、上映してはいますが、多くの映画館では既に一日一回上映で、朝一番か、レイトショーになっています。やむなく有楽町まで足を延ばしてみゆき座で見てきました。みゆき座まで行って見るのは、93年のサリー・ポッターのオルランド以来ですから20年ぶりです。
見た感想ですが、凄いの一言です。映画ってこんなに凄いのかと思わされます。これが興行成績が揮わないとすれば、日本の映画視聴者の見る目がないと言うことなのかも知れません。
鬱病患者による衝動殺人の描写から入ります。しかし、物語の真相は三重になっており、徐々に次の層が剥離するように見えてきます。画像ではなく物語で見せるタイプなので劇場で見なくても良いのかもしれませんが、それでも映画館で見ることによる圧倒的な迫力と言うのはあります。個人的には是非とも今すぐに映画館に行って見ることをお勧めします。これに比べれば、風立ちぬなんて見逃しても全然惜しくありません。
映像的にも綺麗に撮れていて、ニューヨークってこんなに魅力的な街だったかと思わせるシーンが随所にあります。
演技と言う点では、鬱病患者として登場するルーニー・マーラが凄いです。セックスシーンも自殺未遂シーンも殺人シーンもある凄い役回りですが、劇中の描写にもあるようにどこか羽根を痛めた小鳥のような守ってやりたくなる儚い美貌が印象的です。一見、担当精神医として登場するジュード・ロウが実際は物語後半の主役になります。つまるところ、この映画は鬱病患者の映画ではなく、もっと恐るべき真相を持つ心理スリラーなのです。
批評家の意見にポストモダンヒッチコックスリラーと言うのがあるようですが、わたしも同感でした。
ヒッチコックスリラー系と言うと、みゆき座の次の公開がデパルマ監督のパッションだそうで、こちらもヒッチコックスリラー系のようです。有楽町はちょっと遠いのですが、パッションも面白そうな印象を受けました。でも、ロッテントマトで見ると、サイドエフェクトの支持率は84%なのに対して、パッションの支持率は34%しかないんですよね。デパルマの外れかしらん?