ブーディカの話し

bqsfgame2013-10-28

ブーディカはそれなりに有名だと思うのですが、古代戦ゲーマーや、ローマ史フリークでないと知らない人も多いと思うのでちょっとだけ復習。
ブーディカはブリタニアのバーバリアン(ローマ人から見た呼称)部族の一つイケニ族の女族長。紀元60年頃にローマ帝国に対してブリタニア全土を巻き込む大反乱を起こし、市制黎明期にあったロンドンを焼打ちにするなど一時はブリタニアからローマ帝国を追い落とすかの勢いがありました。
タキトゥスの「年代記」にブーディカの反乱は詳しいのだそうですが、この史書自体が長く歴史に埋もれていました。タキトゥスが発見されたのはヴィクトリア女王時代で、ブーディカの名が勝利を意味していることから言わば蛮族版ヴィクトリア女王だったとして注目され、一躍、英国では古代史の有名人となったそうです。勇猛果敢、聡明、長身で腰まで届く赤毛と言う印象的な容貌、そうしたことから小説や演劇の題材にも多く採用され、少なくともブリテン島ではかなりの知名度のようです。
ところが、日本ではかなり知名度が低いままです。その理由は、塩野七生の「ローマ人の物語」でブーディカの反乱にあまり触れなかったことにあると言う説をネットで見掛けました。ネロ帝の時代の話しですから、「悪名高い皇帝たち」の巻になるはずですが、筆者は未読のため伝聞情報です。
ウォーゲームの題材としては、リチャード・バーグ大先生がウェストエンドで「ドルイド」のタイトルでゲーム化し、一部で好評を得ました。これと近い時期に、ウォーゲーマー誌でも「ヘルヘイスノーフューリー」のタイトルでゲーム化されました。そして、昨年になりますが、ATO誌でバーグ本人がリメイクして「ブーディカ」を発表しました。
古代ローマのゲーム題材として面白い戦いは共和政期に集中しており、帝政期にはなかなか良いゲームがありません。そんな中にあっては、このブーディカの反乱は蛮族がローマ正規軍と一時は互角以上に戦った貴重な事例であり、ゲームの題材としては興味深いと思います。日本でももっと話題になって欲しい戦いの一つなのです。