リヴァイサンをソロプレイする

bqsfgame2014-02-22

某誌の原稿のために発掘してきてソロプレイしました。
連載を書いていて良いことは、こういう埋もれたゲームをプレイするキッカケになることです。
1989年のFASAのゲーム。レネゲードレギオンと言うシリーズゲームの一作です。レネゲードレギオンは、映画「スターウォーズ」シリーズに触発されて作られたシリーズゲームで、同社が得意とする精密戦術級的なアプローチで宇宙戦争の全容を描いたものです。第1作は戦闘機をテーマにした「インターセプター」で、陸戦の第2作を挟んで艦隊戦をテーマにしたのが第3作「リヴァイアサン」です。
「インターセプター」が初見者には難しすぎたと言う反省を踏まえて、ルールは大幅に簡略化されました。また、巨大な宇宙戦艦が主役になったので、戦闘機のような複雑俊敏な機動がなくなりました。
代わって、宇宙戦艦は主砲から副砲、さらに対戦闘機砲まで武装の種類と数が多いのが特徴です。また、同社作品の多くに共通するダメージ部位判定、装甲貫通、部位損害に対する特殊制限のルールが冊子の大半を占めます。また、長期航行する大型艦が主役なので、修理チームが乗っていて戦闘中やシナリオ間の補修に関するルールが充実しているのが大きな特徴です。
実際にゲームをやると、機動の妙味はそれほどありません。移動ルールでは大型艦から順に移動するので、機動に融通性のある小型艦は大型艦の動きを見てから攻撃したい部位を狙ったポジション取りをします。後は全艦の全武装の攻撃をチェックし、被弾したらダメージダイアグラムを塗りつぶしていきます。
戦艦では方向別(6ヘクスサイド別)の装甲が実に200ポイントもあり、10列×20行に渡っています。命中したら、どの列に当ったかをランダムに判定し、外側の行から順に損耗していきます。で、特定の列が損耗しきると、その内部の部品にダメージが出て、それによる制限ルールが課されます。
大型艦の大口径砲は、与えるダメージが大きいのですが、どの列に命中するかはランダムです。平気で20ダメージくらい出ますが、命中列と隣接左右列の3列に渡って分散します。
戦闘機の小型砲は、与えるダメージが小さいのですが、列を指定して狙うことができます。結果として、細く深いダメージを与えることができ、早くに特定の内部部品を狙って破壊できるのが特徴です。
ここらへんは、「スターウォーズ」を意識していて、エピソード4のクライマックスの反応炉を狙って戦闘機の攻撃隊を投入するシーンに触発されたと思われます。
一応、プロット方式になっていますが、実際には速度しか記録しません。また、大型艦が中心なので、旋回するまでの最小直進距離の制限が厳しいのが特徴です。逆に言えば、それ以外には特に機動の妙味はない単純なルールです。高度の概念はなく、完全な二次元ゲームです。
手順のほとんどは砲撃とダメージ記録に費やされます。攻撃力も装甲も数字が大きく、同社の他のゲームと比べて、良く言えばヘビー級ボクサー同士のハードパンチの攻防が楽しめます。悪く言ってしまうと、かなり大味な印象でもあります。
このゲームの見応えの一つとして、ユニットがあります。元来が通常より大きいヘクスを使用するのですが、なんと戦艦は4ヘクスロングのユニットです。しかも、小型ハミガキ粉の箱くらいのサイズの組立式の箱状ユニットで表現されます。このサイズのユニットがマップ上を悠揚迫らざる速度で進んで行くのは、なかなか趣きがあります。
「インターセプター」では1機単位だった戦闘機が、スコードロン、さらにフライトと言った大編隊規模で登場するので、ゲーム間のスケールの違いが良く判るようになっています。
あと単発シナリオでは判らないのですが、「リヴァイアサン」の修理ルールの意味はキャンペーンをプレイすると見えてきます。独立した冊子として販売された「クラーケンの覚醒」と言うキャンペーンブックは、クラーケン艦隊を主役とした15のシナリオから構成されています。これを連続的にプレイする時に、前のシナリオのダメージを引き継ぎ、シナリオ間の期間を利用して修理ルールで修理を進めて再出撃していきます。シナリオのプレイアビリティが高いので、この「クラーケンの覚醒」キャンペーンは単なる読み物でなく実際にプレイできるものになっていました。このため、「クラーケンの覚醒」の人気は高く、このキャンペーンをプレイした人ほど親ゲームの評価も高いようです。
時期的にRPG全盛期でもあり、こうしたキャンペーンセッティングを持つゲームが大いに流行しました。しかし、実際にプレイでき、またプレイして面白い物は多くなかったので貴重な作品だったと言えます。