ナバロンの要塞を見る

BSプレミアムシネマでやっていたので、初めて見ました。
これは面白いですね。寸が長いのですが、終りまで興味深く見ました。
主演は、「ローマの休日」のグレゴリー・ペック。脇役ですが重要な役で登場するジア・スカラが綺麗です。彼女の吹替えはいろんな人がやっていますが、池田昌子さんが入っているのは綺麗所の証明でしょうか。
閑話休題
とにかく、本作は設定がウォーゲーマー心をくすぐります。
ウィキペディアから引用すると、
第二次世界大戦中の1943年、イギリス軍の将兵2,000名がドイツ軍占領地に囲まれたギリシャエーゲ海のケロス島で孤立した。しかしそこから海路脱出するには、その南にあるナヴァロン島に配備された2門の巨砲の射程内を通過しなければならない。ナヴァロンの巨砲にはすでに巡洋艦駆逐艦が何隻も撃沈されており、この巨砲を無力化しない限り、ケロス島からの脱出は不可能だった。」
で、ナバロン島に潜入して、件の巨砲の破壊工作を試みます。
ナバロン島の警備は厳重で、唯一可能性のあるルートは、400フィートの垂直の崖の登攀だけ。これを登って潜入し、現地のレジスタンスの協力を得て、砲を破壊。そのタイムリミットは、救出艦隊の通過する一週間後。
凄い設定なのですが、なんとなくヒストリカルに聞こえる所がミソです。あちこちの質問箱に、「ナバロン島は何処にあるのですか?」と言う質問があるのが、その証拠です。
ロス島は実在しませんが、多分にレロス島を思わせます。ゲーマーズのTCSで戦場になったので、筆者は一度、戦ったことがあります。
ロス島が存在しないので、ナバロン島も存在しません。「ドイツの巨砲が据え付けられた断崖絶壁の難攻不落の要塞」なるものも存在しません‥(^_^;
それでも、いろいろな描写が足に地が付いていて、本当にあったことではと思わせるのが原作と映画脚本の勝利でしょう。
この辺りのドデカネス諸島の戦いについては、前述した「レロス」の他には、以前に話題にしたATOの「エーゲ海の戦い」くらいしかゲームがありません。地中海の戦いは、北アフリカ戦線への直接的な影響もあって、もっとゲームがあって良いと思うのですが残念です。
エーゲ海の戦い」は、同時掲載のナルビク目当てで入手してあるので、発掘してきて眺めましたが、エーゲ海多島海のマップは興味をそそります。
ただ、BGGでAARを上げた人の意見では、戦闘システムの性質と、強襲上陸ルールの不足により、一旦、ドイツ軍が制圧して武装した島を後からイギリス軍が奪回するのは不可能に近いとのことです。ですので、「上陸できない上陸戦ゲーム」になっているらしいです。そう言われてしまうと、プレイするのは二の足を踏みますね‥(^_^; 
とは言え、ヒストリカルな結果は、ドイツ軍によるドデカネス諸島全島の占領であり、それは終戦まで維持されました。ですから、「上陸できない」と言うアウトプット自体は史実に照らして妥当なのです。そう考えると、この点を持って欠陥ゲームと呼ぶのは不適切かも知れません。
また、ドデカネスは、相手の失敗であるマーケットガーデンを別にすれば、ドイツ軍最後の作戦勝利になります。ドイツ海軍、空軍、空挺部隊が活躍することもあり、ドイツ軍ファン需要はあっても良いような気がします。それが、TCSがレロスを採り上げた理由かも知れません。
ちなみに、同じく「上陸できない上陸戦ゲーム」だった「フェイタルアトラクション(WW1のガリポリ上陸作戦)」のデザイナーであるロールボウが本作のデベロップメントです(デザイナーはペリムーです)。
うーん、ロールボウ君、頑張ってくれよと言う感じです。
同テーマのゲームが完全に不在のようなので、ナバロン要塞視聴記念にダメモトでソロプレイだけでもしようかと思うのですが‥。ローカルルール導入で、プレイして面白いくらいになると良いなぁ‥とか妄想しています。