最近の護憲発言で、にわかに話題の野中広務氏の回顧録の後半。
前半と比べると、あまり同意しにくい内容が多い。
時期的には、小渕政権誕生から密室の5人組の一人としての森政権誕生、そして小泉政権との戦いと続いていく。
同意しにくい最大の理由は、野中氏が持ち上げる顔触れが好きになれない人ばかりだからである。特に森喜朗を誉めるのには同意できない。永田町や赤坂では人望があるのかも知れないが、どう考えても一国の宰相としての品位に欠けると思う。他には、古賀誠、亀井静香、石原慎太郎なども、どうも賛成できない。
加藤の乱に一章が割かれているが、此処では加藤紘一にいかに期待していたかが述べられている。その一方で、殿ご乱心に対しては厳しい意見も書かれている。
面白かったのが加藤派を継いだ小里氏に関する件で、加藤紘一陣営の窓口としてやってきた小里氏が議論を持ち帰ると言って去るのだが、実は加藤紘一の所へはほとんど持ち帰らず、あちこちうろうろしてから再び来ていたと言うのが面白い。小里貞利は、加藤紘一の議員辞職問題で派閥を急遽率いることになった緊急リリーフの印象が強いが、それはそれでしたたかな政治家だったと言う面が垣間見える。野中氏自身が典型的な党人派であるが、その盟友にも党人派が多い。小里氏は盟友ではないのだが、意外にも宏池会有力者には珍しく党人派であり、そこらへんに通じるものがあったのかも知れない。
小泉政権に対しては非常に厳しい意見が並んでいるが、筆者は小泉支持だったので、そういう見方もあるかと言うことで拝聴。小泉政権の劇場型政治に対する批判はあって然るべきだと思う。しかし、小泉政策が官僚主導と言う指摘は目新しかった。