ライブラリーオブナポレオンの感想

TSR−SPIの「ナポレオンズラストバトルズ」をプレイしたのは、20年ほど前だと思います。
20年ぶりに帰ってきた訳ですが、かなり変わっていました。
率直に言って、かなりスッキリしたと思います。
デザイナーズノートからザッカー先生の言葉を引用します。

「しかし、現在の私は、どのような方法でも、できるだけルールを最小化することを念頭に置いています。ある意味、新しく追加されたルールはデザインの失敗とさえ言えます」

おー、プラドス先生に煎じて飲ませたい(笑)。
大きな改善点は、ユニットの方向性がなくなったことです。これに伴って、NLBで疑問が生じた点の多くが解消されたと思います。
一方で、「ナポレオンアットライプツィッヒ第5版」でも議論になったカードシステムは、飽くまで選択ルールということになっています。
結果として、NESの「ナポレオンオンダニューブ」と似ています。ですが、あちらでは戦力損害を1戦力ずつマーカー記録したのに、こちらはそれさえしません。そういう意味では、むしろこちらの方がプレイしやすいかも知れません。
ただ、個人的には、最近は「ユニットの損害がいきなりユニットまるごと全滅する表現よりも、CWBのようにロースターで管理したり、ナポレオンオンダニューブのようにマーカーで管理したりして、少しずつ蓄積していき、それがユニットの戦闘継続能力の低下として現れていく」方が好きです。要するに、実際の戦闘で、ある瞬間を以って突然ユニットがオールオアナッシングで機能停止するのは不自然ではないかと思うようになったからです。
プレイ上の手間と言う点では、ロースターや、損害マーカーがデメリットであることは否定できませんが、ダイスのばらつきでいきなりユニットが存在しなくなって戦線に穴が空いてしまうような展開に、説得力があると思えなくなったということです。
ここらへんは、個人の感性や好みの問題なので、本作のようなスッキリした扱いがベターと思う人もいると思います。個人的には、ユニット数が十分に多くて、前線全体としては急に穴が空いたりせず、じわじわと薄くなるような姿が見える状態なら、この扱いで良いと思います。ただ、今回プレイしたシャンポーベルのようなユニット数の少ないシナリオでは、戦力損害システムが適切かなと思いました。
ユニット数が少ないゲームでは、デジタルにユニットがいなくなってしまうと、展開がどうしても粗くなるというのが大きいかも知れません。