馬場秀和さんブログからピックアップしてきた本です。
読み終わりました。
結論として傑作だと思います。進化や脳科学に興味がある人なら、読んで損はありません。お代は見てのお帰りとはなりませんが、安くないお値段に見合うだけのものはあります。
本書の原題は、「other minds」です。つまり、遠い6億年前に進化系統を別にした軟体動物の進化から生まれた、脊椎動物とは別の心についての本です。ですから、表紙の印象とは関係なく、本書は分類するなら哲学書ではないかと思います。
第1章で、上記の指摘により、タコとの遭遇は地球上で実現し得る、もっともエイリアンとの遭遇に近い出会いなのだと説明されます。
第2章では、神経系統の発達が、進化上では二つの意味を持つと語られます。一つは、感覚に対して行動レスポンスするためのメカニズム。もう一つは、単細胞生物から多細胞生物になったことにより、多くの細胞(器官)を協調するメカニズムです。
第3章では、6億年も前に分岐し、個別に進化してきた我々とタコが、視覚という点では似たようなメカニズムを持つに至っていること。その一方で、神経系統的には全く異なっていることが説明されます。人間の神経系は脳による中央集権ですが、タコの神経系は自由自在な動きをする腕に分権した構造になっているというのです。
また、NHKで放映されたスラウェシ島のタコの話しが出てきて懐かしく思いました。HDDの片隅に残っているように思うので、探して再見しなくては‥(^o^)
後半では、タコの変色メカニズム、タコの寿命、タコの社会性について語られます。どのトピックも興味深いのですが、前半3章までがクライマックスだったかなとは感じました。
どうしても忙しい人は、前半だけでも読んでください。