今日もナチス関係です(笑)。
「ナチスをだました男」という切口は、苦肉の策と言う気も。
メーヘレンという贋作家の知名度がそれほどないからです。そこで、ナチスにご登場ねがう訳です。
ただ、内容的にはメーヘレンの一代記になっていました。画家としての初期の成功と挫折。そこから修復士へ転向して偶然から贋作作家へ。
贋作で億単位の金を稼げるようになり、旧怨ある批評家ブレイディウスへの復讐のためにフェルメールの渾身の贋作を5年掛けて作成する。
そこから贋作作家として巨万の富を得るようになり、フェルメールの贋作が美術品収集をヒトラーと争うゲーリングの目に留まって‥。
非常に面白い一代記です。
最後は、ナチスへの協力で国家反逆罪で訴えられ、国宝フェルメールをナチスに渡したのではなく自分が描いた贋作だと告白。それが信じてもらえないと、新たなフェルメールを描いて見せて法廷で無実を勝ちとる。その結果、ナチスを騙して多くの絵画を取り戻した英雄として祭り上げられるという。
こんな面白い物語は小説でも書けないのではないかというくらいに面白い。
また、番組中での討論が非常に核心に迫っていました。
本来、芸術品と言うのは、見る人が価値を決めるもので、批評家が何と言おうが自分が良いと思ったら良いという原点に還るべしとは名言です。しかし、「社会的証明(影響力の武器)」に人間は弱いのですね。
個人的には、ゲーリングの貴族趣味は既知でしたが、それにしてもこんなことに労力を割くなら戦略空軍の構築をしろよと改めて思いました。
贋作作家と言うと、萩尾望都の「メッシュ」を思い出しますね。