最終回まで楽しく見終りました。
三谷大河の中でも一番よかったのではないでしょうか。
とにもかくにも、身内の中での権力闘争で次々に大事な仲間が死んでいくのは強烈でした。
最初にインパクトが大きかったのは、上総介広常、演じる佐藤浩市は「新撰組!」の時にも芹沢鴨で大河史上に残る悪役を作ろうと三谷と共謀した過去があり、今回も重要かつインパクトのある死に場所を得るものと思っていましたが、予想以上でした。死後に彼が書いていた「武衛のためにこれからすべきこと」のリストが非常に泣かせました。
次は義仲を討ったことにより、その子、義高を後難を恐れて殺してしまいます。大姫の許婚としていたことから、大姫の大反対に会い、それでも殺してしまうのですが、政子が殺したものを許さないと言ったので、命令に従っただけの藤内光澄も殺してしまいます。ここらへんから義時の変調が臨界点を越えた感じでしょうか。
その次は判官九郎義経です。頼朝と義経の間の不信が高まっていく緊迫した回が続き、ついに義経が頼朝が自分を殺そうとしていると信じた刺客は、実は自分の妻、里御前が静御前に嫉妬して送り込んだものだったという勘違い。義経は奥州に助けを求めますが、そこで義時の手勢がやってくると、自らの手で里を殺します。奥州は義経の首を差し出すことで平和を求めようとしますが、頼朝はそれを許さず奥州を攻め滅ぼしました。
静御前の子供が男の子だったので、義高と同じ理由で頼朝はこれも殺します。順序前後ですね、これを吹き込んで義経を平泉に追い込むのです。
その次はもう一人の弟の範頼です。曽我兄弟の仇討の時に、頼朝が死んだものと早合点して京に将軍後継に任じてもらう使者を立ててしまったことから修善寺に送られてしまいます。後に大姫が病死すると、それを範頼の呪詛によるものと考えた頼朝は範頼も刺客を送り込んで殺します。
ここで頼朝が病死してしまい、義時は頼朝の血塗られた道を引き継ぐことに。
二代目鎌倉殿である頼家のもと、北条氏と比企氏の勢力争いは日に日に激しくなっていき、十三人の合議制が成立し頼家の実権をはく奪します。合議制の中で力を発揮する梶原景時の専横的なやり方に御家人たちは連判状をもって抗議し、景時は失脚し鎌倉を出ていきます。義時はそれを追討して討ち果たします。
頼家後継を巡って比企が乳母を勤めた一幡と、三浦が勤めた善哉の争いが険しくなると、北条時政は阿野全成に呪詛を依頼します。ところが倒れたのは頼家本人。これを好機と見た比企は全成に頼家を呪い殺すように持ち掛け、この呪詛が露見した全成は八田知家に討ち果たされます。
比企との争いに決着を付けたい義時は、このタイミングで比企能員を謀殺し、比企の血を引く頼家の愛妾せつと、その子、一幡も皆殺しに。ところが、重病で意識不明だった頼家が奇跡的に復活を遂げたため、意識不明の間に何が起こったかを説明することができない。また、政子には一幡だけは助けると約束したことも破ったため誰にも相談できなくなってしまう。
北条時政がついに執権となるが、修善寺に流した頼家が後鳥羽帝と結んで鎌倉を攻めようとしていると聞き、ついに頼家も討つことに。ここでも善次を送り込みますが、頼家は(結果的に)善次を返り討ちに。
比企がいなくなった武蔵国の守護の座を時政が狙おうとしたことから、鎌倉切っての武士である畠山重忠と衝突することになる。重忠との衝突は避けたい義時だったが、時政の目論見からついに対立は決定的となり、二俣川で義時と重忠は一騎討ちとなってしまう。
畠山の乱の後、義時は父である時政に余計なことは以後しないように強く釘をさすが、それは義母りくの反発を買うことになる。りくに焚きつけられて乱を起こそうとした時政だが、政子のとりなしによってりくとともに鎌倉を出ていくことになる。
時政が居なくなったことで御家人たちの北条氏への反発は義時一身に向うことに。御家人筆頭格の和田義盛は御家人たちに促されて反北条で立たざるを得なくなってしまう。
義時は止む無く売られた喧嘩を買うこととなり、容赦なく義盛を矢ぶすまにして討ち取り、「鎌倉殿に取り入ろうとした奸賊の末路なり」と言い渡す。
この後もいろいろあるのですが、御家人筆頭だった上総介から始まって、次点格だった義盛まで身内殺しは一段落しました。義盛を演じた横田栄司さんもすごく良かったです。
女優陣では、泰時の妻、はつを演じた福地桃子が良かったです。今はチョーヤの梅酒のCMで良く見かけます。
義時の二番目の妻、比奈を演じた堀田真由も順調にヒロインまで来ました。今年は「クロステイル」のヒロインでも目立ちましたし、ワンランク上に上がったと思います。新垣結衣や長澤まさみは既にビッグネームなので良いでしょう。静御前を演じた石橋静香も「悪女!」のエピソードゲストともども大いに株を上げたと思います。
あとは何と言っても善次を演じた梶原善の存在感がすごかったです。
その弟子を演じた山本千尋も頑張った気がします。その山本を捕まえて見せた生田斗真のいやらしい感じも見逃せませんでした。後鳥羽上皇を演じた尾上松也も見逃せない存在感でした。コメディ俳優と見られていた佐藤二郎が大きな悪役(?)をもらって演じ切ったのも忘れてはなりません。
繊細で有能な頼家像を形成した金子大地も収穫でした。「ドロンジョ」ではガンちゃんで出てきて、見る人は見ていて既に活躍の場を広げているのだなと思いました。
北条一族ではトキューサこと五郎時房をやった瀬戸康史も、今年はコンフィデンスマンJPのメイン悪役もやって、大いに株を上げました。「まんぷく」の神部君あたりからずっとレベルの高い所で演じていると思います。